東京の「ものづくり・匠の技の祭典」開幕 若者、女性、AIを技能継承の入口に

東京都が主催する「ものづくり・匠の技の祭典」が7月31日、東京国際フォーラムで始まった。会期は8月2日まで。左官、木工、和装、調理、宝飾、花きなど100を超える職業体験が用意され、工科高校の生徒や若手、女性技能者が仕事を紹介する。

催しの背景には技能継承の難しさがある。製造業と伝統工芸は、ともに熟練者の高齢化、若者が職業を知る機会の少なさ、習得までの長い期間という課題を抱える。完成品を展示するだけでは、材料を読む力や修正の判断、工程の組み立てを伝えにくい。職業体験は、仕事の手触りを入口にする試みだ。

今年は人工知能もテーマに入った。江戸小紋の展示では、図案生成や記録にAIを使いながら、最終的な品質を職人が判断する関係が示された。人工知能は大量の模様を保存し、設計の候補を増やせる一方、染料、布、湿度の変化を読み、失敗を修正する現場知までは置き換えにくい。

東京都が若者と女性技能者を前面に出したことも重要だ。伝統的な技能職には、採用の閉鎖性、長い徒弟期間、固定的な性別役割が残る分野がある。工科高校や専門学校と事業者を結び、就職後の賃金、労働時間、育成計画を明確にしなければ、体験は祭典のなかだけで終わる。

製造業でも、デジタル機器を使える人材と手作業の熟練を対立させるのではなく、両方を理解する人を育てる必要がある。技能継承とは、過去の方法をそのまま保存することではなく、品質の核を残しながら仕事の条件を更新することでもある。

祭典後に問われるのは、参加者が職業訓練、見学、インターン、採用へ進めるかだ。東京都や業界団体が継続的な入口を用意できれば、匠の技の祭典は展示会から人材政策へとつながる。

人材育成の成果を測るには、体験者数だけでなく、その後に訓練や就職へ進んだ割合を追跡する必要がある。

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