東京都は7月31日、2026年度第2回の「都民生活に関する世論調査」を始めた。住民基本台帳などから無作為抽出した都民4000人を対象に、日常生活の実感、居住地域や東京への意識、都政への政策要望を尋ねる。回答期限は8月23日で、調査は輿論科学協会が担当する。
調査票は郵送され、調査員が自宅を訪問する方式ではない。回答は無記名回答とされ、個人情報は調査目的以外に用いない。無作為抽出を使うのは、行政に自ら意見を送る人やインターネット上で発言する人だけに偏らず、沈黙している住民を含む都民生活を把握するためだ。
東京都は人口、所得、交通、住宅など大量の統計を持っている。しかし数値だけでは、住民がなぜ不安を感じるのか、どの公共サービスに不満があるのか、居住地域による差をどう受け止めているのかは分からない。世論調査は、客観統計では捉えにくい主観的な経験を補う。
限界もある。4000人のうち何人が回答するか、若者や外国人住民が十分に含まれるか、質問文が回答を誘導していないかで結果は変わる。郵送調査は、転居が多い人や紙の質問票に慣れていない人には届きにくい。回答率と属性別の偏りを開示する必要がある。
東京では、物価、住宅費、子育て、介護、防災、交通が相互に影響する。例えば住宅費が高ければ子育て世帯が周辺県へ移り、通勤時間が延びる。日常生活の回答を政策分野ごとに切り離すだけでは、住民が感じる問題のつながりを見失う。
調査の価値は、結果を百分率で公表するだけでは生まれない。都政がどの意見を施策に反映し、反映しなかった要望にどう説明するかまで示して初めて、世論調査は行政と住民の往復になる。
都政は、回答が少なかった年代や地域を明示し、次回調査の方法改善にもつなげるべきだ。