台湾で初の通信制限演習 北部7県市 中国の攻撃想定し「不便」を体験

台北市を含む台湾北部の7県市で13日、携帯電話のデータ通信速度を制限する演習が初めて実施された。通信インフラが敵の攻撃を受けた状況を想定し、住民に「不便」を体験させることで、長期化する紛争への備えを促す狙いがある。台湾当局は中国によるサイバー攻撃や通信妨害を念頭に、持久戦への対応能力を高めたい考えだ。

## 初めての試み 北部7県市で速度制限

演習は13日、台北市と新北市、桃園市など北部の7県市で行われ、一定時間、携帯電話のデータ通信の速度が制限された。通信網が攻撃でまひした状態を再現し、住民が緊急情報をどう入手するか、生活にどのような支障が生じるかを確認するのが目的とされる。

台湾当局は、通信制限はあくまで訓練であり、実際の通信が途絶したわけではないと説明している。それでも、SNSやメッセージアプリに依存する生活の中で、速度制限を体験した住民からは戸惑いの声も上がった。

## 中国の脅威にどう備えるか

演習の背景には、中国による台湾への軍事的圧力の高まりがある。台湾当局は、中国が通信インフラへの攻撃を含む「灰色ゾーン」の行為を仕掛ける可能性を警戒しており、実効的な防衛策の一つとして、こうした訓練を位置づけている。

専門家からは「有事の際に通信が使えなくなる事態を想定し、住民の意識を高める意義はある」との評価がある一方、「実際の攻撃時に訓練と同じ対応ができるとは限らない」と指摘する声もあり、訓練の実効性が問われている。

## 今後の焦点

今回の演習の検証結果を踏まえ、台湾当局が対象地域や訓練内容をどう拡充していくかが焦点となる。中国側がどのように反応するかも含め、台湾海峡をめぐる緊張が続くなか、通信インフラの防護策のあり方が改めて注目されている。

## 出典

– 朝日新聞(動画)「持久戦も想定し『不便の体験』 台湾で初の通信制限演習、その背景は」 https://www.asahi.com/video/articles/ASV8F3RP5V8FUHBI00PM.html
– 読売新聞「『中国と台湾―危機と均衡の政治学』 『台湾有事』回避へ 今後10年が勝負」 https://www.yomiuri.co.jp/choken/y-yoshino/20260810-GYT8T00168/