岡山県立博物館で「ポンポン船」展 木造船から瀬戸内の交通と暮らしをたどる

岡山県立博物館は7月31日、企画展「すすめ!ポンポン船――木造船の世界」を始めた。会期は9月13日まで。発動機を積んだ木造の機帆船を中心に、高瀬舟や田舟など、岡山の海、河川、用水路で使われた船を紹介する。

「ポンポン船」は、発動機音から呼ばれた木造船で、瀬戸内海の島々や港を結び、人と物資を運んだ。帆と動力を組み合わせた機帆船は、近海の風や潮、狭い港に合わせて運用された。内陸では、高瀬舟や田舟が農産物、建材、生活物資の輸送を担った。

道路網とトラック輸送が広がると、水運の役割は急速に小さくなった。木造船を建造、修理する造船技術も、職人の高齢化とともに失われつつある。博物館が船体部品、模型、工具、写真を収集することは、個人の記憶を地域の公共資料に変える作業になる。

ポンポン船は郷愁の対象だけではない。船の形、材木、積み荷、航路を調べれば、地域ごとの産業と地形が分かる。瀬戸内海の沿岸集落がどの港と結ばれ、内陸の農村が用水路をどう使っていたかを具体的に示す。

現在の河川や用水路は、治水や景観として見られることが多い。しかし、かつては労働、移動、交換の空間だった。水辺の歴史を知ることは、地域社会が自動車交通以前にどのように成り立っていたかを理解することでもある。

展示を通じ、船そのものだけでなく、船大工、船員、荷主、港町の記録がどこまで残せるかが課題となる。

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