熊本地方のM7.1地震、死者34人に 自動車・半導体工場の停止が九州の供給網を直撃

7月28日午後4時27分ごろ、熊本県熊本地方を震源として発生したマグニチュード7.1の地震は、31日までに死者34人となった。気象庁によると、震源の深さは約10キロ。救助活動と建物の安全確認が続く一方、影響は九州の製造業集積地から県外の完成車工場へも広がっている。

人的被害では、震源に近い工場や大型商業施設で多数の死者が確認された。商業施設ではガス爆発の可能性も調べられており、被害原因の確定には時間を要する。2016年の熊本地震と単純に比較することはできないが、天井や設備、配管など非構造部材を含めた事業所の安全対策が改めて問われている。

自動車分野では、トヨタ自動車が九州の完成車、エンジン、ハイブリッド関連の3工場を8月5日まで停止した。部品供給への懸念から、九州から離れた愛知県内の工場にも生産停止が及ぶ見通しだ。日産自動車は九州の2工場で一部生産を止め、三菱自動車も岡山県の工場で一部ラインを休止した。

半導体でも点検が続く。熊本に工場を持つTSMCは段階的に稼働を戻しているが、製造装置の状態確認と再調整が必要としている。ルネサスエレクトロニクスの工場では天井材の落下や壁のひび、漏水が確認され、8月5日以降の段階的な再開を目指す。ソニーも8月初めからの復旧を予定し、月半ばの通常稼働を目標としている。

半導体工場は電力が戻れば直ちに生産できるわけではない。精密装置の水平、温度、薬液、クリーンルーム環境を確認し、試作品で品質を検証する必要がある。完成車工場も、一次取引先だけでなく、小規模な二次、三次の部品メーカーの状況に左右される。今回のサプライチェーンへの影響は、工場の建物被害よりも、点検と部品物流の遅れとして長く残る可能性がある。

2016年の地震後、企業は調達先の複線化、在庫の見直し、耐震補強を進めた。今回、一部の部品工場では対策が被害軽減につながったとの説明も出ている。ただし、供給網の強さは最初の復旧発表ではなく、品質を保った量産が安定して続くかで判断すべきだ。8月5日前後の集中再開が最初の節目となる。

復旧状況を判断する際には、企業の発表時刻にも注意が必要だ。「操業再開」は一部工程の試運転を指す場合があり、通常の生産量に戻ったことを意味しない。取引先への納入が再開しても、検査で不具合が見つかれば再び停止する可能性がある。自治体と企業は、従業員の安全、設備の確認、物流の状態を分けて公表することが望ましい。

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