国立科学博物館と総合地球環境学研究所の共同企画展「どうする、ニンゲン――研究現場から地球の未来を問う」が7月31日、東京・上野公園で始まった。会期は9月23日まで。気候、生態系、資源を別々の問題として並べるのではなく、人間の文化や地域の暮らしとの関係から地球環境問題を捉える。
総合地球環境学研究所は、初代所長の日高敏隆以来、環境問題を広い意味での人間文化の問題として研究してきた。展示は国内外の研究現場を紹介し、研究者が地域住民と協力しながら、食料、水、土地、生物多様性について解決策を探る過程を示す。
完成した成果だけでなく、調査の途中や意見の対立を扱う点が特徴だ。来場者は展示に対する考えを書き、研究者との公共対話に参加できる。開幕関連企画では、国立科学博物館前館長の篠田謙一と、地球研所長の山極壽一による対談も組まれた。
科学は、環境変化の証拠や選択肢の影響を示せる。しかし、どの産業を優先し、誰が費用を負担し、どの暮らしを変えるかを科学だけで決めることはできない。持続可能な関係をつくるには、研究者、行政、地域社会が異なる価値を持ち寄る必要がある。
博物館で研究現場を見せる意義は、知識がどのように作られ、不確実性がどこに残るかを伝えることにある。環境問題を「正しい答えを学ぶ展示」にしないことで、来場者は判断に参加する立場になる。
展覧会の成果は来場者数だけでは測れない。研究の過程への理解が深まり、科学的な根拠と社会的な選択を区別して考えられるかが重要だ。
展覧会名の「どうする、ニンゲン」は、研究成果を受け取るだけでなく、来場者自身に選択を促す問いとして置かれている。