第58回日本医学教育学会大会が7月31日、富山で開幕した。会期は8月2日までで、前日には関連プログラムも行われた。富山大学の医学教育学講座が大会を担い、日本医学教育学会の大規模な学術交流が約30年ぶりに北陸で開かれる。
医学教育は、医学生が講義で何を学ぶかだけの問題ではない。医師養成、臨床実習、卒後研修、専門職間の連携を通じ、どの地域にどのような医療人材が配置されるかに関わる。人口高齢化と地域の医師不足により、大学には教育内容と地域医療を結びつける役割が求められている。
富山で開催する意味は大きい。医師と研修機会は大都市や大病院へ集中しやすい。地方大学は、地域出身者を育て、診療所や中小病院と連携し、卒業後に地域で働く経路をつくる必要がある。全国の制度論を北陸の現場と同じ場で議論できる。
近年のカリキュラム改革では、シミュレーション教育、デジタル教材、患者参加、医療倫理、多職種連携が重視される。新しい手法を導入するだけでは十分ではなく、臨床現場で患者を診る力、地域の限られた資源で判断する力をどう評価するかが課題になる。
設備や教員数には大学間の差がある。高度なシミュレーターを備える大学の方法をそのまま全国へ求めれば、教育格差が広がる可能性がある。共有教材、教員研修、大学間連携によって基礎的な質を支える必要がある。
大会後は、研究成果が認証基準、大学の授業、臨床研修病院の指導へどう反映されるかが注目される。医療人材の不足は入学定員を増やすだけでは解決せず、学ぶ場所、実習内容、卒業後の労働環境を一体で設計しなければならない。