多くの建物に残っている発がん物質のアスベスト(石綿)の除去を巡り、日本を除く主要先進国が業者に免許(ライセンス)制度を導入していることが、毎日新聞の「深層サイエンス」企画で明らかになった。日本には個人の資格制度があるが、安全を担保するには弱く、石綿対策における主要先進国との差は広がっている。
## 欧州でいち早く導入、韓国も法制化
アスベスト除去業者のライセンス制度は、欧州でいち早く導入された。日本より石綿対策が遅かった韓国でも、2012年に石綿安全管理法が施行され、国家戦略として石綿の根絶を目指している。韓国では法定の人員や施設、設備について除去業者をチェックし、雇用労働相が登録。作業基準の順守や機器の性能、保有人材の教育修了の状況などに基づき産業安全保健公団が評価し、5段階にランク分けする。
さらに、この業者を監視して被害防止に努める「作業監理人」を置く独自の制度も持つ。こちらは環境公団が5段階に評価し、3年ごとに補習教育を課すものだ。業者に法令順守を求め、作業の是正や中止も要請する。いわば二重のチェック制度だ。
## 日本の「石綿作業主任者」、更新なし
一方、業者のライセンス制度がない日本では、個人資格「石綿作業主任者」を設けている。除去現場で選任され、作業の監督や指揮を担うが、2日間の講習と試験で取得できる。一度資格を取ると、更新の必要がなく、評価を受けることもない。
英国や韓国では、使用中の建物に残る石綿の適正管理も法規制で進められている。日本ではアスベスト付きの作業着を着たまま外へ出るなどずさんな除去の実態も指摘されており、監視の目が届かない現状が浮き彫りになっている。健康被害を防ぐための制度整備が課題となっている。
## 出典
– 毎日新聞「主要先進国では『常識』 アスベスト除去免許制、日本は未導入」 https://mainichi.jp/articles/20260815/k00/00m/040/276000c
– 毎日新聞「個人資格で更新なしの日本 アスベスト対策、広がる世界との差」 https://mainichi.jp/articles/20260815/k00/00m/040/290000c
– 毎日新聞「アスベスト付いた作業着で外へ…ずさん除去の実態、届かぬ監視」 https://mainichi.jp/articles/20260815/k00/00m/040/279000c