ドナルド・トランプ大統領が政府のDEI(多様性、公平性、包括性)プログラムを廃止する大統領令に署名したことを受け、企業がDEIという言葉を避け、名称を変更する動きが広がっている。しかし、DEIへの取り組み自体を終了させるわけではない。
テクナノジー企業の中では、Googleが2025年二月に多様性採用目標を撤廃し、DEI関連プログラムの見直しを進めている。GoogleのCEOサンダー・ピチャイ氏は「代表性のある労働力を構築することを信じている」としつつ、「法的要件に従う必要がある」と説明した。これにより、DEIの枠組を維持しつつも、法規制に対応した形での運用が求められている。
一部の企業では、DEIという言葉が政治的に敏感な用語となったことから、「学習」「採用」などの別名を使うことで問題を回避している。広告代理店「Paradigm」のCEOジョエル・エマーソン氏は、顧客企業に対し「具体的な目標を明確にすることが重要だ」とアドバイスしている。
背景には、2023年の最高裁判所がハーバード大学のアファーマティブアクションを違憲と判断したことがある。この判決を受け、企業の採用方針にも見直しが求められている。さらに、トランプ政権は1月、政府のDEIプログラム廃止を指示し、50社以上の企業に対し「DEI規制違反」として調査を開始している。
一方、DEIプロブラム自体は以前として企業や労働者の支持を受けている。ピュー研究所の調査によれば、86%の労働者が職場の多様性や公平性向上に肯定的意見を持っているという。企業はリスクを考慮しつつも、持続可能な取り組みとしてDEIをつづける方向を模索している。
専門家は「DEIという言葉が問題視される中で、その本質である『平等な機会の提供』を忘れてはならないと強調している。
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