米政府関係者の誤送信問題受け、暗号化アプリ「Signal」米国内で過去最多のダウンロード数に

技術

米国政府高官による誤送信によって機密情報が流出したとされる事件を受け、暗号化メッセージアプリ「Signal」の米国内でのダウンロード数が急増している。調査会社Appfiguresによれば、事件発覚後の数日間で、米国におけるSignalの新規インストール数は過去最高を記録したという。

アプリ分析プラットフォームのデータでは、2025年3月第4週のSignalの米国内ダウンロード数が、週平均の約5倍に跳ね上がった。この急増は、いわゆる「SignalGate」とも呼ばれる一連の報道をきっかけに、暗号化通信の重要性に対する関心が高まったためとみられる。

この騒動の発端は、国家安全保障問題担当大統領補佐官マイケル・ウォルツ氏が、暗号化されたSignalグループチャットにジャーナリストを誤って追加したことだった。チャット内では、イエメンのフーシ派への空爆を含む軍事作戦について、政府高官らが議論していたという。

この出来事を受けて、Signalの利用に関する是非が再び議論の的となっている。国家情報長官のトゥルシ・ギャバード氏は26日、政府支給の一部デバイスにSignalがプリインストールされていることを明らかにした。一方で、国防総省監察官室は以前より、非公的アプリによる通信のリスクを指摘してきた。国家安全保障局(NSA)も、Signalを含む一部のアプリに対する注意喚起を行っている。

Signalは、エンドツーエンドの暗号化機能を特徴とし、プライバシー保護を重視するユーザーに支持されているが、今回の件では人為的ミスによる情報漏洩という側面が強く、技術的なセキュリティだけでは不十分であることが改めて浮き彫りになった。

一方で、今回の報道によって一般ユーザーの間では、「より安全な通信手段」を求める声が強まり、Signalの需要が急速に拡大している。専門家は「技術そのものへの理解と、それを正しく扱う知識の普及が同時に求められる」と指摘している。

今後、政府内外における暗号化通信のあり方と、個人による情報管理意識の向上が問われることになりそうだ。(Source

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