日本の地方町村で、28人の中高年男性が実名でカード化され、子どもたちの間で熱烈に収集・対戦される現象が起きている。なぜ今、地域の「おじさん」がヒーローになったのか?この取り組みは、単なる遊びを超えて、世代間の分断をどう埋めようとしているのか?
福岡県香春町の西道祖地区で始まったトレーディングカードゲーム「おじさんTCG」は、地域に暮らす28人の中高年男性を実在のキャラクターとしてカード化したユニークな企画だ。
元消防団長の本田さん(74歳)は「ファイアウォール」という名のカードになり、「スーパーガード」という200ダメージ防ぐ技を持つ。他にも、そば打ち名人の竹下さん(81歳)、元刑務官で地域ボランディアの藤井さん(68歳)など、各カードには実際の経歴や特技が反映されている。
最初はコレクション目的だったが、子どもたちがカード同士を比べ合ううちに、自然と対戦型ゲームへと発展。現在では「地域貢献度」がカードの強さに反映されるという、現実とゲーム融合したローカル・ヒーロー・プロジュクトとなっている。
このプロジェクトを企画したのは、西道祖地区コミュニティ協議会の事務局長、宮原絵里さん。「子どもと高齢者のつながりをもっと自然にしたかった」と語る。
導入後、地域イベントへの子どもの参加率は倍増し、「あのカードのおじさんに会えるかも」という期待感が、ボランティア活動への関心を高めている。
カード化されたたち自身も、意外な人気に驚きつつも誇りを感じている。藤井さんは「まさか自分がカードになるとは」と笑い、「サインを求められるなんて人生初」と語った。
「おじさんTCG」は、アナログな手法で世代間の交流を促進する画期的な取り組みだ。SNSやスマホゲーム全盛の今だからこそ、顔の見える地域社会が生む「リアル・カードゲーム」は、全国の地方町村にとっても参考になる可能性がある。
地域のヒーローは、案外すぐそばにいるのかもしれない_そんな気づきを与えてくれるプロジェクトである。(Source)
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